本場の中国鍼:李哲鍼灸院

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午後だけ多汗症になる男性、漢方薬で治した例「翻訳文」

本記事には、ある時間帯だけ多汗症になる原因と漢方薬・鍼灸の治療法を書きました。決まった時間帯に体調不良になるのは経絡の問題なので、鍼灸の効果がテキメンです。

こんにちは。李哲です。

だいぶ寒くなりましたね。皆さんは防寒対策しっかりとっていますか?

 

手足が冷える方は、普段の飲み物として黒糖生姜湯がオススメです。冷え性にはとても効果的。詳細内容は以下をご覧ください。

 

www.li-hari.net

 

昨日の朝出勤する時、たまたま光線の具合が良かったのを見つけて、雨の中で止まってスマホで撮りました。風で紅葉が揺れているから、なかなか焦点が合わなかったけど、奇跡的に止まった瞬間があったのでパシャ。

 

スマホはこんな時に便利ですね。

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紅葉についてる水滴がきれい!

雑談はおいといて、本題に入ります。

今日は中国・郝万山先生(北京中医薬大学教授、博士課程の指導者、主任医師)の漢方薬治療例。

 

もとの中国語リンク先は、

郝万山经方36首故事1 - 好大夫在线

翻訳文

東直門病院で仕事した時の話です。

 

ある日、一人の患者さんが来ました。

56歳だったと思います。南の人で方言の癖がすごくて、聞き取るのが大変だったので、非常に印象深かったです。

 

患者さんが言うのは、「先生、私の病気は治しにくいです。ここで3ヶ月治療しています」

 

「どんな症状ですか?」

「毎日午後3時になると、体が熱くなって大汗をかきます。シャツがびしょびしょになるくらい汗が出ます。シャワー浴びて、ズボンまで着替えてから、やっと午後の仕事ができるのです。この熱くなる時間は、午後3時から始まり、4時になると収まります」

 

患者さんのカルテを見たら、以前の処方は陰を養う処方、気を補う処方、熱を取る処方。すべての私が想像できる治療法を使っていました。

 

特に前回の処方箋は汗を収める処方箋で、生薬の種類も量もすごい多かったです。たとえば麻黄の根30g、浮小麦50g、焼いた牡蛎50g、分心木20g、金桜子30g。

 

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浮小麦(小麦とも言う):熱を取り、汗を止める作用がある生薬。


私が知っているすべての汗を止める生薬が入って、皮ふの穴を強化する生薬を入れているから、「これは絶対に効くだろう!これで効かなかったら、私も打つ手がない!」と思いました。

 

「おじいちゃん、前回の漢方薬を飲んでどうですか?」

「1回飲んでから怖くて飲んでないよ」

 

「なんで怖くなったのですか?」

「この漢方薬を飲んでから、午後3時に熱いのは相変わらずあったよ。以前はね、汗が出て着替えすれば、もとの仕事ができたけど、この漢方薬を飲んでからは汗が出ない。午後はずっと体内が熱くて何も集中できないし、イライラしてくるんだよ。だから私は怖くて飲んでない」

 

私は患者さんに言いました。

「汗を止めるのがダメだったら、汗をかかせましょう」

 

患者さんは表情が固まりました。

「先生、こんなに長い間治療したけど、汗をかかせる先生はいなかったです。発汗の漢方薬で大丈夫ですか?」

 

患者さんは私が若すぎるから、頼りがなかったでしょう。

 

患者「発汗の漢方薬を飲んで、効かなかったらどうしますか?」

私「私の処方箋で効かなかったら、私の師匠のところに連れて行きます」

 

当時、年をとった老中医は一般人の診療には出てない。

老中医に診てもらうのには、とても困難だったのです。

 

患者さんは私の話を聴いて喜んでました。

「良いですよ。処方箋をお願いします!」

 

私が出したのは、3日の桂枝湯。

桂枝湯はあまり使った経験がないし、患者さんにも飲み方を伝えてなかったです。

 

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桂枝湯の主力:桂枝の画像。

 

3日後、患者さんはまた来ました。

「先生の漢方薬を飲んだけど、変わってないです」

仕方がないので、私は患者さんを連れて胡希恕先生に合わせました。

 

胡希恕先生は当時、東直門病院で『傷寒雑病論』の処方をよく使う老先輩。その時、胡希恕先生は偉い幹部たちだけ治療していました。

 

「胡希恕先生、私が難しい患者さんを連れて来ました。この患者さんは、毎日午後3時になると発熱が始まり、汗が止まらなくて2つも上着を着替えしないといけません。

 

以前の漢方医は、みんな気を補って皮ふの穴を固定する、汗を止める生薬を使ったけど、効果がないそうです。私は3日前、桂枝湯を処方し汗をかかせようと思いました」

 

胡希恕先生は患者さん質問しました。

「この漢方薬はどうやって飲んだのですか?」

 

私は気づいたけど、患者さんは言葉を濁しながら話していました。

「えーーと、午前中1回、えーーと、夕方1回です」

 

あとで分かりましたが、患者さんは私の漢方薬を飲んでない。患者さんは最初から、私の師匠に診てもらうことを狙っていたのです。

 

患者さんは私を信じてない。

汗をかかせる治療法で、汗がでるのを治すと思ってもない。

だから、3日後に来た時、私の師匠に診てほしいと言ったのです。

 

胡希恕先生は話しました。

「処方はとても良いよ!飲み方を伝えましたか?」

「ちゃんと伝えてないです」

 

胡希恕先生は飲み方を伝えました。

「毎日1回だけ飲みます。

あなたは午後3時から熱くなって大汗をかくでしょう?そしたら、1時半に飲んでください。

 

飲んだあとは熱いお湯もたくさん飲んで、少し厚着にしてジンワリ汗をかくくらいにしてください。これで3時に熱くなるかどうかを見ましょう」

 

3日分の漢方薬をもらって、おじいちゃんは喜んで帰りました。

 

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大棗(なつめ):漢方薬によく使うもの、医食同源の一つの代表である。

 

4日後におじいちゃんが来たとき、すごい喜んでました。

「先生、この発汗の漢方薬は本当に効きますね!

1日目の午後に飲んで、熱いお湯も飲んで体にジンワリと汗が出ました。着替えする程度まではいってない。

 

そして、3時になって私は発熱するのを待っていました。

なのに、あまり熱くならない。汗をかくのも減って、下着だけ替えるだけで済みました。

 

2日目は更に熱くなるのが減って、着替えしなくても大丈夫だったです。

3日目は更に軽くなり、もう完全に着替えする必要がなくなりました。この漢方薬は本当に効きますね!

 

私「それでは、また3日分を出します。」

患者「胡希恕先生に診てもらわなくて良いですか?」

私「大丈夫です。しかも、胡希恕先生はとても忙しいので」

 

その後、患者さんは姿を消しました。

3ヶ月後、私は部署が変わって病棟勤務になりました。

 

ある日、患者さんがまた探しに来て、「前回胡希恕先生に診てもらってから、6日分の漢方薬を飲んで汗は出なくなったけど、最近また少し出ます。前の処方箋そのままで良いでしょうか?」

 

「そのままで良いです」

そして、6日分を出しました。

 

患者さんが言うのは「郝先生、先生たちの勤務地はよく変わりますね。この漢方薬を飲んでから再発したら、先生をまた探します。先生がどこに行っても必ず探します。転勤があっても書類上にいろいろあとが残るから、必ず誰かが知っているはず!」

 

もう30年過ぎましたけど、患者さんは来てないです。

李哲の感想

ある時間帯だけ汗をかくのは、『傷寒雑病論』で書いたのは「営衛不和」だと言います。

 

私なりの解釈ですが、皮膚の下と筋肉の間に風邪(ふうじゃ)がいて、ある時間帯になると体はその風邪(ふうじゃ)を見つけて外に出そうとします。でも、自分の免疫力(軍隊)が少ないので、完全には追い出せない。だから、いつまでも汗をかく症状があるのです。

 

桂枝湯は「営衛不和」を調和する漢方薬。

軽く汗をかかせる事で、皮膚の下に残っている風邪(ふうじゃ)を完全に追い出します。

 

以前、葛根湯に関して書いたことがあります。

葛根湯は桂枝湯に葛根と麻黄を追加したものなので、以前の記事を見れば桂枝湯の仕組みも分かります。

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li-hari.hatenablog.com

 

以上は漢方薬に対する解釈。

鍼灸治療の場合は、もう少しシンプルです。

 

午後3時~5時の間は、足太陽膀胱経が活発な時間帯。

この時間帯に問題が起きるのは、膀胱経に問題があるからです。

 

『黄帝内経』と『難経』に書いた治療法は、兪穴を刺すこと。つまり、膀胱経の束骨を刺せば2~3回で治る。ツボは1つだけで良いです

 

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束骨穴:膀胱経の兪穴(ゆけつ)。


束骨で汗が止まる?

古代のツボの紹介には、こんな作用があると書いてません。

 

しかし、特別な時間帯に起きる不調は、その時間帯の経絡を調整すれば治る。これが鍼灸の理論です。

 

貴方が肺がんであろうと心臓病であろうと、午後3時~5時だけ体調不良の場合、一律膀胱経の束骨で楽になります。

 

なぜその時間帯だけ体調不良なのか?

西洋医学は理解できないでしょう。最近になって時間医療学がありますが、イマイチ分かってない。

 

中医学は数千年前から、すでに時間と病気に関して論じ、相応の治療法まで備えています。 

 

ある時間帯だけ体調不良の方は、鍼を試してください。すごい早く治るから。