こんにちは。李哲です。
今日は2番目のおばさんに鍼した記録。
とても面白い感想があったので、書いたのが長くなりました。
前回の内容は以下をご覧ください。
施術日は2018-10-03。
おばさんが言うのは、前回の鍼をしてから、右膝裏の痛みと左腰中の痛みは良い感じ。ただし、日にちが経つとまた痛みが生じる。
おばさんは「まだ痛いんだよ!」と"文句"を言ってました。
私「2週間前に1回鍼しただけでしょう?長年の痛みなので、2~3回で治るものではないです。鍼はある程度の日数がかかります。漢方薬だって1週間で治るものではないから。ベストは週2回、鍼したほうがいいです」
おばさん「へへへ~痛みが和らぐと、すぐ来なくなっちゃうからな」
私「最低でも1週間に1回来て、しばらく鍼治療を続けないと、根本の改善ができないです」
おばさんの太腿とふくらはぎに、瘀血がいっぱい溜まっているので、今日は刺絡して鍼をしました。
うつ伏せで刺したツボは右膝裏の陰谷、委中。
腎兪、志室、京門、大ちゅう(骨会)、天柱。左の腕順1と2。右の後谿。
針をする時、おばさんは一つの症状を思い出して、私に教えてくれました。
「左の肩のどこかが痛い。横に上げたとき、ある角度でピキッと痛みが走る」
痛みは 広い範囲だと言うので、とりあえず右の後谿にしてみました。
右膝裏の陰谷、委中は左腰の痛みを治すため。
左の腕順1と2は、右膝裏の痛みを治すため。
右の後谿は、左の肩周辺の痛みを治すためです。
左の手首を上に伸展した時に痛いというので、圧痛点を探して1~2分くらい刺しました。回したらすごい響いたそうです。
うつ伏せから仰向けになった時、「左の手首を上に伸展してみて」と言いました。
おばさんは曲げたりしてみて、「痛みがだいぶ良い。ちょっとだけ残っている」
鍼の効果はまた持続するので、あとで治るはず。だから、強化するツボは刺してない。
仰向けの鍼を始める時、私はおばさんの右膝の内側にたくさんの瘀血があるのを見て、冗談を言いました。
「こんなに瘀血があるのに、よく膝が痛いと言わないですね」
「いや、違うよ、右膝も中のどこかが痛いんだよ。以前はたまにしか痛くなかったのに、寒くなってからしょっちゅう痛い。ただし、痛い場所が確認できない。膝の中のどこかだよな」
「了解です。これは簡単なので、数回で治るはず」
そして、膝の周りで鍼をしました。いわゆる膝五鍼。
仰向けで刺したツボは太衝、公孫、三陰交、右の膝五鍼、関元、上中下脘、曲池(右)、肩髃(右)、足臨泣(左)。
仰向けで鍼をしている間、おばさんは肩が気になったのか、回してみてから言いました。「痛みは減ってないね…」
痛い場所を教えてもらったら、ちょうど大腸経の肩髃あたり。
私はすぐ右の曲池に刺して、おばさんに言いました。
「左の肩を動かして、まだ痛いか確認してみてください」
おばさんは左肩を動かして、「広い範囲での痛みはなくなり、今痛いのは一ヶ所になった」
「え?どこですか?」
おばさんは右手で教えてくれました。
ちょうど左の大腸経の臂臑(ひじゅ)。
早速、右の曲池の針を抜いて、臂臑を刺してから肩を回してもらいました。
そしたら、今度は臂臑の痛みは消えて、少し上の方が痛いそうです。
もう一度教えてもらったら、なんと肩髃(けんぐ)。
右の臂臑の針を抜いて肩髃を刺し、2~3分経ってから肩を動かしてもらいました。
おばさんは左肩を回しながら、つぶやいてました。
「不思議だね!痛みが全部消えた…こんなに早く治る???」
私「経絡からくる痛みはすぐ消えますよ。内臓からくる痛みは、時間かかるけど」
足のほうで瘀血を探して、刺絡する場所を確認する時、胃経に集中しているのが見えました。
私「胃の経絡のところに、瘀血が溜まっているけど、胃の調子はどうですか?」
おばさん「よく食べられるけど、小麦類を食べると胃酸が上がり、食道が詰まったように辛い。納豆と一緒に食べると大丈夫だけどね。あと、おばあちゃんみたいにゲップがよく出る」
私「小麦類がダメですね?これは脾臓が弱いことですね。食道がつらいのとゲップが出るのは、逆流性食道炎。胸焼けはしますか?」
おばさん「胸焼けはよくあるよ。みぞおちの上をさすりたくなる」
私「逆流性食道炎なので、コーヒーと人工的な甘い物は全部止めてください」
おばさん「分かった。コーヒーとか付き合いでしか飲まないから、数日に1回くらいだよ。甘い物も減らそう」
おばさん「膝の後ろ真ん中が痛いのではなくて、少し外側が痛いんだよね」
私「指で示してください」
指した場所は胆経に近いので、左の足臨泣を追加。
もしこれで変化がなかったら、次回は左の申脈を刺すつもり。
今日は仰向けで足が外側に倒れているので、申脈が刺せなくて足臨泣にしました。
おばさんは仰向けのとき、私に質問がありました。
「もしかして、左腰の上が痛いのは、脾臓と関係があるのかな?」
おばさんの話で、私は急にひらめきました。
これは腎虚証の腰痛ではなくて、慢性膵炎かも!逆流性食道炎の症状もあるし、可能性が大きい!だから、今まで何回か刺しても、効果が薄かったんだ!
判断が正しいかどうかは、次回に脾兪と章門(みんな脾臓のツボ)などを刺してみれば分かります。
針を回しに入った時、おばさんは話しました。
「鍼で更年期障害は治らないの?」
「更年期障害なんかは、すぐ良くなりますよ。どんな症状ですか?」
「疲れると全身の骨と筋肉が痛い。たまにホットフラッシュが来て、汗をかいたりする」
「あ、簡単ですよ。内関一つで対応できると思います」
おばさんは笑いながら、「え?また刺すの?今日はもう良いよ良いよ。次回にしよう!」
鍼が増えると、おばさんたちはみんな嫌がります(笑)
最後に針を取るとき、おばさんは右肘に鍼をしたまま、唇をかいてました。
「唇の上がかゆい!しかも、左だけかゆい~」
痒くてしょうがないおばさんを見て、私は大笑いしました。
「右の大腸経のツボを2つ刺したので、左の唇の上が反応したでしょう。大腸経はちょうど唇の上を通ります」
おばさん「自分は敏感な体質かな?いつもは鍼した所が痒くなるけど、今回は全然違う所が痒くてしょうがない!」
私「みんな生まれつきの体質があります。おばさんは経絡に敏感な人だと思いますよ」
次回は慢性膵炎の治療をして、結果がどうなったかをまた書きます。