こんにちは。李哲です。
中国・郝万山先生の精神分裂病を漢方で治した例を翻訳しました。
郝万山先生は北京中医薬大学の教授、博士課程の導師、主任医師。『傷寒雑病論』を推奨し、関連処方でたくさんの患者さんを治しました。今日その中の一つを紹介します。周期性の精神分裂病だと言われた女性が、どのように治ったかを記録した内容。参考になると幸いです。
生理になるとイライラ、情緒不安定で気持ちのコントロールができない、周期性の精神分裂病だと診断された女性
２０年前、２２歳の女の子がお母さんの同伴で来ました。
女の子の症状は、生理になるとイライラが始まり、じっといられない。情緒不安定で気持ちのコントロールができない。
私「いつからこんな症状がありましたか？」
彼女「１４歳で初めて生理が来たときからです。イライラして情緒不安定。生理になる前から座っても立っても不安で、生理になると気持ちのコントロールができません。大声で叫んだり喧嘩したり、もしくは走り回ったり踊ったりします。ひどい時は裸足で道端を走ります」
私「生理が終わると普通の人になりますか？」
彼女「そうです。皆さんと同じように、学校に行けて仕事もできます」
私「病院の診断はなんですか？治療してどんな感じですか？」
彼女「北京すべての精神疾患を治す病院に行きました。電気ショック療法以外に、精神分裂症の薬を全部試したけど、まったく効きません」
私「生理の周期は規則正しいですか？」
彼女「生理不順です。来たり来なかったりです」
私「生理前になると自覚症状で分かりますよね？」
彼女「分かります。イライラして情緒不安定になり、大便が固くて出づらい、口の中に変な味がすると、私はもうすぐ生理で持病が発作するのも分かります」
精神分裂病でイライラ、気持ちのコントロールができないのは漢方薬で治る
私「西洋医学の診断はなんですか？」
彼女「すべての病院の診断は同じでした。周期性の精神分裂症」
皆さんも存じたように、精神分裂症は簡単に治るものではない。いったん、精神分裂症だと診断されたら、彼女は一生普通の生活ができなくなります。
私も精神分裂症の治療に対して、非常に頭が痛かったです。２０年前はさらに経験が少なかったので。
先に生理不順を治すことにした
私「先に生理不順を治してみましょう。生理、血の塊が多いですか？」
彼女「多いです。生理前は腹痛と腰痛があって、生理が来てもスッキリ終わらない。イライラして情緒不安定。そして、大便が硬くなり口の中も変な味になります」
私「口の中はどんな味ですか？」
彼女「とても苦いです」
私「そうですか～生理になる前に、自覚症状が現れたらこの処方を飲んでください。３日分です。」
処方したのは桃核承気湯（とうかくじょうきとう）。
彼女は大便が硬いので、この処方にしました。３日分だけ。そして、飲み方を伝えました。
私「２日飲んで生理が来たら、残りの１日分は生理が始まってから飲んでも良いです。３日飲んでも生理が来なかったら、もう少し漢方薬を買って、生理が来る日まで飲んでください。」
桃核承気湯の一つの生薬：芒硝（ぼうしょう）の画像。
３回治療してから快便になり、イライラがなくなって、精神分裂病もほぼ再発してない
最初の１ヶ月。
彼女は２日目まで飲んだら、生理が来ました。
桃核承気湯を飲んだとき、大便がとても順調。１日目は大便が３～４回。２日目は大便が２～３回。３日目は大便が１～２回。
彼女はイライラが以前よりだいぶ減って、落ち着くようになったことに気づきました。自分の気持ちのコントロールができたのです。
次の生理が始まる前に、彼女はまた３日分の漢方を飲み始めました。飲んだあと、症状は先月よりさらに軽くなりました。
３回治療してから、彼女の精神分裂病はほとんど発作してない。
6ヶ月くらい治療してから、周期的な精神分裂病は治り、西洋薬も要らなくなった
ところで、新しい問題がおきました。
生理が終わると非常にだるい症状が増えたのです。
彼女が言うのは
「連続３ヶ月飲んで精神分裂症はなくなったけど、生理が終わったあと非常に疲れやすいです。」
私が思ったのは、瘀血を出す漢方で少し貧血気味になっている。生理のあとは、気血を養いながら痰を減らす漢方が必要。
６ヶ月くらい治療してから、彼女の周期的な精神分裂症はなくなり、西洋薬も要らなくなりました。
１９７７年、文化大革命騒動が終わって、中国は大学入試を復活し彼女は大学に入りました。入試点数は非常に高かったそうです。これは彼女の智力発育が良いことを証明します。
結婚・出産後にも精神分裂病は再発してない
彼女は精神分裂病（統合失調症）を患ったせいで、結婚が遅かったです。私は彼女の結婚式に呼ばれて、彼女の行動・話すのをよく観察したけど、すべて正常でした。
私は彼女にこっそり話しました。
「以前の症状が完全になくなっていますね」
彼女「郝先生、この場で私の過去の病気を知っているのは先生だけですよ。必ず秘密を守ってください。精神分裂症になった人は、結婚相手を探すのも大変です」
私「もちろん、秘密を守りますよ」
彼女はその後、息子さんを一人産みました。子供は今１４～１５歳くらい。彼女はアメリカの会社で働いています。プレッシャー強いけど、精神分裂病はずっと再発してない。生理も順調です。
李哲の解釈と感想
精神科の薬で廃人になった患者
西洋医学では専門的に精神科があります。
うつ病、躁うつ病などの病名を作り出して、関連の薬を売っている。
患者さんは良くなっているのか？
これは患者さんと周りの人が一番分かるはず。
私はおばさんから友人の話を聞いたことがあります。その友人は超エリートマンだけど、ある日うつ病だと診断されて、たくさんの薬を飲まされました。その後から人がおかしくなり、一日中ぼっとする。仕事もできなくて、会社を止めるしかなかった。
その友人に残ったのは活気がない体。性欲がなくなり、完全なるぼっき不全になって、何をするのにも興味がない。一日中ぼっとしてテレビばかり見ている。
言葉が悪いけど、廃人になっています。
精神科の薬は依存症にもなるし、副作用がひどい
西洋医学の先生は、「患者さんの気分が落ち着いているから治療は有効だ」と言うでしょう？
私から逆に質問したいです。
患者さんがこんな状態なのに、治療は成功だと言えるでしょうか？
中医学の先生からみたら、明らかに悪化しています。このまま行くと薬物中毒で死ぬかも知れません。
精神科の薬、特に人を興奮させる薬は、人工的なヘロインで自然な麻薬よりも副作用が強くて依存症になります。だから、病院でも厳重に在庫管理をしないといけない。
アメリカの漢方医：李宗恩博士が書いた、精神科の薬と無差別殺人事件に関しての記事、ぜひ１回目を通してください。
中国大昔の精神疾患は、決まった原因しかない
中医学は大昔から精神病の記録があります。
しかし、本当の精神病はとても少ない。ほとんどの患者さんは、体に宿便がたまりすぎて、長年の瘀血がたまって精神がおかしくなっている。便秘を治して、瘀血を出せば、精神も正常になります。
あと女性の場合は、子宮に瘀血というか邪気（じゃき）が入った時に、精神がおかしくなる。これは生理を治せば、自然に精神状態も良くなります。
精神疾患の処方箋は、桃核承気湯だけではない！
上記の治療例を見て、精神分裂病の処方箋＝桃核承気湯（とうかくじょうきとう）だと勘違いしないでください。
桃核承気湯は生理前の便秘、瘀血を治せるから、精神分裂病も良くなっただけ。具体的な処方箋は、必ず信頼できる漢方医にたずねてください。
便秘も瘀血もないのに、精神がおかしい。
このとき、中医学は治療できるのか？
治せる生薬はあります。しかも、めちゃくちゃ安くて、拾いに行けばあるやつ。『神農本草経』に書いてあるので、こちらでは省略します。
鍼灸の治療方法
心気虚則悲、心気実則笑不休
『黄帝内経・霊柩・本神』より引用
直訳すると、心臓の気が弱いと悲しくなり、マイナス気持ちに落ちる。心臓の気が強すぎると、ヘラヘラ笑いが止まらない、ハイテンション。
西洋医学で言ううつ病は、心臓が弱くなったときの症状。落ち着きがない、発狂したりする躁うつ病は、心臓の気が強すぎるときの症状です。
漢方薬で治せるのは、鍼灸でも治療できます。
鍼治療のキーワードは、心臓を調整すること。
もちろん、瘀血と宿便があったら、同時に出すべきです。
基本的な事をやって、そのあと心臓を調整すれば、精神疾患も自然に治ります。以下は一つの鍼治療例、参考になると幸いです。
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