不整脈とアレルギー性鼻炎、3週間の漢方薬で脈拍が安定してきて、鼻水が垂れるのも治った

「鼻水が止まらないのは鼻の問題ではないかもしれません。」

長年のアレルギー性鼻炎と不整脈に悩んでいた40歳男性。炙甘草湯でも改善しなかった脈の乱れは、胸に溜まった“寒湿”を同時に治すことで一気に安定しました。鼻水も止まり、毎晩の鼻うがいが不要に。中医学ならではの治療順序が功を奏した実例です。

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目次

症例:不整脈(脈の乱れ)とアレルギー性鼻炎を併発した40代男性

長年のアレルギー性鼻炎と**不整脈(脈の乱れ・動悸)**に悩んでいた40歳男性。。体型は中。

彼の脈はとても不思議なものでした。早くなったり遅くなったり、たまには脈が強くなり、たまには脈が小さくなる。だいたい3~15回に1,2回止まってました。

初診時の症状と所見

ほかの症状は、

  • 長年のアレルギー性鼻炎で鼻水が垂れる、毎晩鼻うがいをしないと眠れない。
  • 深呼吸すると、最後は突然空気が消える感じがする。
  • 横隔膜あたりは拘束感があり、
  • 胆嚢には良性腫瘍があります。
  • 手のひらは乾燥で裂けている。
  • 舌診では白、湿。
  • T4,T5の椎間板には圧痛点があります。
アレルギー性鼻炎で鼻水に悩み鼻をつまむ男性のイメージ
長年のアレルギー性鼻炎で鼻水が止まらない状態を再現したイメージ。

脈拍がとても特別なので、私は心臓発作が心配で先に心臓を治し、その後は胆嚢を治すことにしました。

炙甘草湯による初期治療と経過

最初は炙甘草湯しゃかんぞうとうを1週間処方して、脈は少し良くなり、5~20回に1,2回止まるようになりました。ほかの変化はわずか。

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2回目は心臓発作の処方を出したら、脈拍は少しよくなったけど、ほかの変化は著しくない。

治療方針の転換:心臓と鼻炎を同時に治す

私はしばらく考えました。患者さんの何年も鼻水が垂れる症状が、ヒントだと思いました。長年の寒気と湿気が胸に溜まっているから、心臓が弱くなり、脈拍が乱れているでしょう。

不整脈と心臓病は、同時に解決しないといけない。前の2回は片方に偏っていたので、効果は著しくなかったです。そして、処方を以下のように変えました。

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処方内容と漢方的な考え方

炙甘草  桂枝  人参  生地  麦門冬  麻子仁  茯苓  白朮  杏仁  陳皮  枳実  半夏  栝婁実  厚朴  生姜  炮附子(加工したトリカブト)  薤白  三七  阿膠(アギョウ)

李哲の説明:
以上の処方は、心臓発作・心筋梗塞を治すときの生薬も入っています。心筋梗塞の前兆と漢方治療について詳しくはこちらでも、似ている処方が出ているので、興味がある方はどうぞご覧ください。

治療結果:不整脈と鼻炎はどう変化したか

患者さんは3週間後再診察にきましたが、脈拍はほぼ正常になり、たまに30~40回に1回止まる感じ。呼吸するとき、横隔膜の拘束感はまだ少しあり、長年の鼻水が垂れる症状は治って、毎晩鼻うがいの必要もなくなりました。

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今は次の治療段階に進むところです。

胆嚢の良性腫瘍に関して私が思うのは、きっと長年の寒気と湿気、“寒湿”(体にたまった冷えと水分)が胸あたりに溜まっているのと関係があります。もし、最初異常な脈拍を治さないで胆嚢腫瘍を治療し始めてたら、効果は薄かったと思います。

李哲の解釈

李宗恩博士の考え方を見ると、病気治療には段階性がありますね。

第一歩:先に心臓を解決する。
第二歩:胆嚢の腫瘍を解決する。
順番を逆にするとダメ。

最初に処方した炙甘草湯しゃかんぞうとうは、非常によく使われています。
動悸、息切れ、不整脈に対して、炙甘草湯しゃかんぞうとうはうってつけの漢方薬

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李宗恩博士の治療例から分かるのは、処方箋が偏ってしまうと全般の戦争・戦いでは勝てない。だから、満遍なく配慮して処方を組み立てる必要があります。処方の組み立ては、そうとう漢方医の腕を試すところです。一番難しいところでしょうか。

私は漢方専門医ではないので、あまり言えませんが、漢方薬の奥深さは伺えますね。漢方薬は西洋医学みたいに、暗記さえすれば処方できるものではありません。

以下は、中医学と西洋医学の違いに関して書いた小論文。興味がある方はどうぞご覧ください。

鍼灸治療の場合、偏ることがないです。ニハイシャ先生1の針を習ったとき、肺と心臓は隣同士なので、両方同時に解決する必要があると教わりました。

軽い鼻炎とか鼻水が垂れる症状には、大げさに両方とも治す必要がないけど、重い病気の時は両方治します。例えば肺水腫、喘息、呼吸困難の方は、肺兪を刺す以外に、肺兪の下の心兪も一緒に刺します。

同時に治した鍼治療例が一つあります。呼吸困難は1回で治り、動悸もかなり改善されました。

不整脈、アレルギー性鼻炎は難病ではないです。鍼治療に数週間の時間をくれれば、良くなっているかどうかがわかるはず。同じ症状の方は、ぜひ近くの信頼できる鍼灸院で治してもらってください。

まとめ|不整脈と鼻炎は同時に治療すべき理由

中医学では、症状を個別に見るのではなく、全体のバランスを重視します。
今回の症例では、不整脈とアレルギー性鼻炎という一見別の症状が、同じ原因から起きていました。

  • 心臓だけ治しても不十分
  • 鼻炎だけ治しても不十分
  • 両方同時に治療することで改善

同じように「鼻炎と動悸」「鼻水と不整脈」で悩んでいる方は、体全体の状態を見直すことが重要です。

※スタンダード大学の博士、李宗恩中医師2の漢方薬治療例、心臟每跳幾下停一下 – 當張仲景遇上史丹佛(2011-1-20発表)を翻訳しました。

  1. 倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。

    ↩︎
  2. 李宗恩博士はアメリカ・カリフォルニアの著名な中医師。数々の難病・がん治療で高い臨床効果を出して、中医学の普及のために記事を書か続けて、研修医たちも育てている素晴らしい先生です。李宗恩博士の診療所情報は、以下の記事で説明しているので、どうぞご参考にして下さい。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)

    ↩︎
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