死にかけた蜂窩織炎(足がただれて痒い)、動悸を漢方薬で治した例

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こんにちは。李哲です。
アメリカの中医師:鄭智城先生*1の記事を翻訳しました。

中国語本文のリンク先は、
差点就要了命的白人中年男脚感染_郑智城(2012-08-08 発表)
差点就要了命的白人中年男脚感染【续完】_郑智城(2012-08-12 発表)

抗生物質も効かない蜂窩織炎。全身に広がってかゆい、足はただれて黄色い滲出液が出る。こんなひどい感染症を、漢方薬で治した例です。

謎の症状:足がただれ赤く腫れて痛い、痒い

2週間前、一人のアメリカ人男性から電話が来ました。
「私はデラウェア州の◯◯ですが、2年前に治療してもらったことがあります。最近皮膚病で悩んでいますが、治療してくれますか?」

私「もちろんできますよ」

この男性は覚えています。
礼儀正しくて背が高い白人。奥さんは台湾人。乳がんでこちらに治療しに来たことがあって、その後すぐ北京中医薬大学に留学して中医学勉強に行きました。

午後、夫婦とも2人が来ました。少し挨拶してから、彼は足を見せてくれました。

見て目はすごい怖かったです。具体的に言うと、

  1. 両足はむくんでいる。
  2. 両足のうちくるぶしの近くに、つまり腎経の太谿穴近くに、やけどしたみたいなカサブタがあり、皮膚が硬くてとても痒い。中から黄色い浸出液が出ている。

同時に腎経に沿って大腿部まで広がって、そけい部にも似てものがあるそうです。以下がその画像。

足がただれて痒いのは漢方薬で治った

抗生物質で更に悪化し、使うのを躊躇する患者

男性は帰るとき私に質問しました。
「ところで、抗生物質はどうしますか?」

これは非常に答えづらい問題。
私の心の中ではもちろん止めてほしい。でも、はっきり言ってはいけない。責任の問題だから。これは言わなくても分かるでしょう。

私はこう答えました。
「抗生物質を使ってさらに悪化したから、抗生物質はあなたに対して害しかない事が分かります。しかし、最後の決定はあなた自分で決めてください」

漢方薬3日だけで、ただれた足は著しく改善

3日後、男性の病状が心配で落ち着きがないとき、夫婦とも来ました。

その日はとても忙しかったです。
夫婦2人は座って待ちながら笑っているのを見て、私は心の中で効果があっただろうと思いました。

男性の順番になり、白人男性が言うのは「1日目の漢方薬を飲んで良い感じ。2日目は飲んでから体が暖かくなり、とても気持ちよかった。同時に体の赤い斑点が上から下に行くのが分かる。元の足の位置まで戻っています」

当時、私が思ったのは処方箋は合っている。
やっと心の中のおもりは消えました。

「あなたの足を見せてください」

男性はズボンをめくって見せてくれました。
足の太谿穴近くの黒いカサブタ、中から黄色い浸出液が出たのが、今は新しい肉が出ています。もともとのカサブタは半分くらい取れている。

3日の漢方薬でこんなに効果があるとは、本当に嘆くしかなかったです。

ただれる足は良くなったけど、心臓の動悸が出てきた

しかし、治療はいつも順風満帆ではないのです。
男性が言うのは、「3日目の漢方薬を飲んだとき、胸がドキドキしてビックリしやすい。だから、残りの半分は飲んでないです」

私は聞いてすぐ分かりました。
男性はもともと心臓に問題があり、前回の処方箋で発散しすぎて、心臓の血が足りない現象が起きたのです。

原因が別れば、あとは簡単です。
炙甘草湯(しゃかんぞうとう)+黄耆。また3日分を処方。

動悸は治り、ただれる足は9割治った

3日後、夫婦ともまた来ました。

私の予想したとおり、持続的に良くなってきました。
心臓がつらいのはなくなり、ひどくただれた足は9割良くなっている。

今度は八味地黄丸+黄耆。6日分を処方しました。
男性は下腹部に力が入らないという主訴があったので。

そして、下から上に発展する腐る湿疹は、ちょうど八味丸が合っています。

八味地黄丸は、前立腺の病気にも効果バツグン。以下の記事、参考になると幸いです。

抗生物質を使ったら、患者は必ずひどい目に遭う

この時、台湾人奥さんは言いました。
「彼のお父さんは永遠に私を許せないかも。抗生物質を止めさせたから。」

私は笑いました。
これは私もどうにもできない。

体の免疫力を破壊する抗生物質
体の免疫力を破壊する抗生物質


もし、この男性が続けて西洋医学の治療を受けたら、結果は恐ろしくて考えられません。この抗生物質がダメだったら、次回はもっと強い抗生物質を出す。そして悪化するのは止まらない。抗生物質で満身創痍になったとき、今度はステロイド剤を出す。

患者さんはステロイド剤の副作用で、ひどい肥満症とむくみに襲われ、骨がボロボロになる。考えられない悪性循環に陥ります。

私は西洋医学の先生ではないので、細かい部分は分からない。でも、だいたいこんなやり方でしょう。

患者さんからのメール内容

以下は台湾人奥さんが私にくれたEmailです。

Dear Dr. Zheng,
Please find the attached photos of XXX’s legs during the peak of the inflammation. This case highlights the advantages of Chinese herbal medicine when the strategy and the formulation match the pattern. In a matter of 2 packs the inflammation was contained and the oozing dried up.
People often think of TCM to address chronic symptoms. It can be equally effective for emergency condition, as this case showed.
I put dates on the photos. 7/22 was the day before he went to the emergency room. 7/24 the day after. 7/25 was the date you saw him before he took the formulation packs.
Sincerely,
XXX

李哲の感想

アメリカで開業している中医師たちの治療例を見ると、漢方薬と鍼灸を信じるアメリカ人はけっこういるみたいですね。

先に病院に行くのではなくて、中医師に診てもらう。日本ではなかなか見られない光景だと思います(中国でも中医学の先生に先に診てもらうのが少ない)。

このアメリカ人は奥さんが中医学を知っているので、抗生物質がだめだったからすぐ連れてきました。そして、適切な処方箋ですぐ回復。アメリカ人は今後も漢方薬の信者になるでしょう。

私はここまでひどいのは診たことないけど、似ている治療例はあります。

傷口に関して、抗生物質はもう使う道がないです。

第2次世界大戦で抗生物質が役に立ったのは、衛生条件がとても悪い環境で傷口の感染防止ができたこと。しかし、今は戦争もないし、衛生管理はどこでもちゃんとしている。傷口からさらなる感染は、ほぼ不可能です。

逆によく聞くのは、病院で抗生物質を使いまくって、薬剤耐性菌のせいで院内死亡が増えている。

昔診た患者さんは、抗生物質を2~3日飲んだだけで激痛が走りました。詳細は以下をご覧ください。

日本ではまだ抗生物質の処方が多いです。ウィルスが原因の風邪でも、抗生物質を処方。抗生物質はばい菌にしか効かないことを、知っているのにもかかわらず!

いつになったら、抗生物質が消えるでしょうか?

【2020-08-15追加情報】

もっとひどい足が爛れる漢方薬症例があったので、こちらも参考にしてください。94歳のおばあちゃんを治した例です。漢方薬の効果がどのくらい良いか、見てみれば分かります。

(おわり)

コメント

  1. li-hari より:

    id:MT6538
    M(エム)さん
    ブコメありがとうございます。
    見た目だけでは判断できないので、難しいところですね。脉診などを踏まえて判断するのが、中医学の特徴です。

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